アスリートのように、
鷹を鍛える。
ご満足いただける結果を出すため、
弊社は鷹匠だけでなく鷹も毎日訓練・調教します。
なぜ、鍛える必要があるのか。
「鷹であれば勝手に狩りをしてくれる」わけではありません。
鷹という鳥が、ほかの鳥を襲う肉食の猛禽類であることはみなさんもご存じでしょう。
そのため「ハトやカラスを鷹を飛ばして追い払う」と聞いても、「鷹は本能で狩りをするのだから、鷹で追い払えるのは当たり前だろう」と思われるかもしれません。
しかし、一見かんたんそうなこの方法にはとても高いハードルがいくつもあるのです。
まず最初に鷹に、鷹自身と人との共同で狩りをする、仕事をするのだという認識を持たせないといけません。
鷹は本来単独で生きていく動物です。
人間社会に溶け込んでから長い歴史をもつ犬と違い、他者と共同で作業することを理解させるだけでも大変な根気が必要になります。
そこをクリアしても、いざ実際に現場で害鳥の追い払いをさせようとすると、その現場には鷹にとって様々な障害があるのです。
まず、ハトやカラスがいるからといって、訓練していない鷹を現場で放てばまっしぐらにそちらに向かってくれるとは限りません。
本来自由で気ままな鳥です。
鷹任せにすると、自分の興味のある獲物には向かうがそうでない獲物には見向きもしないようなことになりかねません。
さらには、ペットの猫や散歩中の犬など、決して手を出してはいけない相手に襲いかかることもあり得ます。
それでは狩りも追い払いの仕事も成り立ちません。
またカラスを追い払う現場で鷹を放つと、カラスは群れで鷹を攻撃してきますが、そのときに十分に訓練されていない鷹は相手をするのを嫌がってその場を離れてしまうことがあります。
当然、鷹がそんなクセをつけると追い払いになりません。
このように鷹が「やるべきこと」「やってはいけないこと」をきちんと判断して追い払いの結果を出させるためには、鷹に個々の対象動物を仕込む(認識させる)ことが必要です。
さらには動物だけでなく鷹匠以外の人にも近づいてはいけませんし、街中や現場にある様々な人工物(クルマや自転車などの動くもの・工場内の機械類のように点滅したり音をだしたりするもの)に驚かないように慣れさせなければいけません。
訓練されていない鷹が初めて工場の敷地を飛んだりすれば、パニックになって追い払いどころではなくなるのです。
以上のような様々なハードルをクリアした鷹だけが、鷹匠とコンビを組んで狩りや追い払いの仕事をこなせるようになるのです。
これだけのトレーニングを毎日、欠かさず行います。
「認識」どんな環境でも慌てないための精神トレ
害鳥を追い払うために、弊社の鷹は日本のあらゆるところへ出向きます。
毎回景色の異なる環境で飛ぶことになっても慌てないように、いろいろなものを見せて慣れさせておくことが大切です。
急に車が飛び出してきたり、何か大きな物音がしても慌てることなく、鷹が平常心を保つための訓練です。
そのために弊社の鷹匠は、朝の決まった時間になるとコンビの鷹といっしょに外へ出て、手の上にのせた鷹にいろんなものを見せるのです。この訓練を毎日必ず2時間行います。
「渡り」飛び立って戻る、鷹の基礎トレーニング
木の枝などに向け鷹を飛ばし、鷹が目標物にとまったあと手元に呼び戻す訓練です。
まだ鷹匠と鷹の間の信頼関係が築けていない間は忍縄(おきなわ)と呼ばれるヒモを鷹に繋いで、鷹が一定の距離以上に遠くまで飛べないようにします。
その後徐々に鷹が鷹匠を信頼するようになると、鷹を糸で繋がずに自由に飛ばせても、合図をすると鷹匠の腕に戻ってくるようになります。
これを鷹匠用語で”渡り”といいます。
このような信頼関係はいちど築けばあとは大丈夫というものではありません。
1年を通して続ける必要があるのです。
グリーンフィールドでは、鷹匠は毎日欠かさず、約60回以上の渡りの訓練を行っています。
「ルアー」「生餌」本能を研ぎ澄ませる、狩りの実践訓練
生きたハト、あるいはハトに似せた疑似餌を放り投げ、鷹に空中で捕まえさせるトレーニングです。
いつもエサを口元に運んであげてばかりでは、鷹の狩りの感覚が鈍ってしまいます。
定期的に実戦さながらの狩りをさせ鷹の本能を引き出しておくことで、いつでも現場で力を発揮できるような状態を維持しています。
プロボクサー並みの、厳密な体重管理
なぜウエイトを管理する必要があるのか
人はそれぞれ性格や体質・体の大きさが違いますし、食べ物の好みもさまざまですが、それは鷹でも同じことです。
やはり鷹も一羽一羽、好き嫌いが違ったりするのです。
ですから、鷹に好きなようにエサを食べさせていては太りすぎてすばやく飛べないような体形になってしまいます。
そのため体重は鷹匠が毎日厳密に管理するわけですが、そのベストな体重というのは鷹によって当然異なります。
ベストな体重とは、鷹が獲物となる動物を素早く追いかけたり、対象動物(ハトやカラスなど)に素早く反応するための最適な体重です。
スポーツ選手と同じで、痩せれば動きは素早くなりますが、痩せすぎるとパワーが出なくなります。
そのギリギリのところを毎日維持できるように、鷹匠は神経を注いているのです。
鷹の表情から、先を読む
鷹匠に関しては、「どういった人が鷹匠に向いているのか」と聞かれることがよくあります。
諏訪流鷹師の花見先生は、「気が長い人」「感が良い人」「根気のある人」を挙げておられます。
逆に「感が悪い人」は鷹匠に向かないということになります。
「感が悪い」とは、鷹が何かを嫌がっていても気がつかない、鷹匠自信の所作を嫌がっていても気づかず、鷹が獲物を見つけていても気がつかない、といったことです。
そのような「感の悪い人」の接し方は、鷹を壊してしまう原因にもなります。
鷹と鷹匠の信頼関係が築けなくなると、据えられたりすることを嫌がり、落ち着かなくなるのです。
ですから鷹匠は鷹に接するとき、常に鷹に集中して表情を読み取り、その先を考えなくてはならないのです。